五感

全て独立したものだと思う。
僅かのつながりすらない、
切り離された5つの感覚。


感覚は独立していても、
脳がそれをつないでいる。
記憶がそれをつないでいる。
りんごを見たときに、
味が想像できるのは、
脳が感覚をつないでいるからだ。
でもそれは想像でしかない。
視覚で味はわからない。
味覚でしかわからない。
感覚は独立しているから。


感覚情報の処理の仕方は、
完全に人それぞれだと思う。
誰かにとっての赤が青であるように。
誰かにとってのドがラであるように。
同じものですら、違うように感じられるのに、
別のものと別のものをつなぐものが、
同じであるはずがない。
だから、りんごを見たときに思い浮かべる味は、
誰もが違うものになるはずだ。


だから、
僕が聞いた音を絵にしたら、
それは僕だけの世界なんだ。
だから、
僕が嗅いだ風の匂いを絵にしたら、
それは僕だけの景色なんだ。
そこにだけは、僕というものがある。
僕という存在がある。