ハカイ

思い通りにいくものなんて何もない。
だから、
何も望んでないふりをする。
何も願ってないふりをする。
何も考えてないふりをする。
何も思ってないふりをする。
頭がおかしくなるほど、
気が狂いそうになるほど、
渦巻いているものを、
溢れ出てくるものを、
押し隠し、
堰き止め、
ヌケガラのふりをする。
空っぽに、
空虚に、
何もないふりをする。
誰かを傷つけるのが怖いから。
自分が傷つくのがもっと怖いから。
嫌われるのが怖くてたまらないから。
だから、僕は抜け殻になる。


僕は何も望まない。
望むけれど望まない。
だから、
僕に何も望むな。


きっと、最初にふられたあのときに、
こうなってしまったんだろう。
誰かに嫌われることの重さを知った。
好きになることが怖くなった。


ずっとずっとこのまま。
きっときっとこのまま。


好きと言われても、
付き合って欲しいと言われても、
何も言えなくなってしまった。
きっといつか失わなければならない。
きっといつか嫌われる。
だったら、望まないほうが幸せじゃないか。
悲観的で臆病だ。
そんなことはわかってる。
でも怖いんだ。
たまらなく怖いんだ。


それでも僕は誰かを好きになる。
好きになって後悔する。
ヒトでいる限り、
生きている限り、
僕は後悔し続ける。


ああ、でも、きっと、
誰かを好きになれるだけ、
まだ救いがあるんだ。